ブラジルは自然資源の宝庫であり、世界有数の鉱物埋蔵量を誇る。その広大な平原に加え、豊富な水力、森林、農業・畜産資源により、ブラジルは世界的に見ても食料や肉の主要生産国として位置づけられている。特にアマゾン川流域では、複雑な水系ネットワークが莫大な発電能力を秘めている。
また、ブラジルの地形は森林で特徴付けられており、地球の「肺」として知られるアマゾン熱帯雨林が広大な領域を覆っている。さらに、ブラジルは鉄鉱石、アルミナイト、ニッケル、金など金属鉱物にも恵まれており、主要な鉱物製品の輸出国として重要な役割を果たしている。
ラテンアメリカ最大の経済規模を持つブラジルは、面積では世界第5位、人口では第7位、GDPでは世界第9位にランクインしている。歴史的に見て、実質GDP成長率は概ね2～3%前後で推移してきた。供給側から見ると、経済成長の主な要因は人口増加であり、資本蓄積や生産性向上による寄与は限定的である。
需要側から見れば、消費が経済を牽引し、投資や外国貿易は比較的小さな役割を果たしている。産業構造においては、製造業セクターは競争力に課題があるものの、鉱業と農業は急速に成長しており、輸出強化の中心となっている。
地理的には、東南部と南部地域が経済的に優勢で、主要な産業や世界的に知られる企業が集中している。ブラジルはかつて急速な工業化を遂げ、「経済の奇跡」を達成した1970年代もあったが、1980年代のラテンアメリカ債務危機によって、長期的な低成長、高インフレ、通貨切り下げの状況に陥った。
2023年、ルーラ政権は財政改革を開始したが、これらの改革目標の達成には依然として大きな不確実性が残っている。このため、改革成果の信頼性に対する疑念が浮き彫りになり、高財政赤字-高インフレ-高金利という悪循環を断ち切ることが困難であることが示唆されている。この悪循環は引き続き投資を圧迫し、中長期的な経済成長の展望を阻害している。
2023年、ブラジルの国内総生産（GDP）は驚異的な10兆9千億レアル（約2兆1900億ドル）に達し、前年度比で堅調な2.9%の成長を記録した。ブラジル地理統計院のレベカ・パリスによれば、農業と畜産業が大幅な成長を牽引し、大豆とトウモロコシの記録的な収穫によりこのセクターは15.1%もの急成長を遂げた。さらに、鉱業も8.7%拡大し、石油・ガス部門および鉄鉱石の生産増加が寄与した。一方で、製造業と建設業はそれぞれ1.3%、0.5%ずつ減少した。
その勢いは2024年も続き、ブラジルのGDPは年初から好調に推移し、第1四半期には0.8%の成長を記録した。この成長は主にサービスセクターが牽引し、2023年第4四半期と比べて顕著な上昇を見せた。予想をわずかに上回り、中央値のアナリスト予測0.7%を上回り、0.4%から1.2%の予測範囲内に収まった。この進展により、ブラジルは今年、世界経済ランキングで一つ順位を上げ、世界第8位の経済大国になる可能性がある。ただし、第2四半期にはリオグランデドスール州での洪水による影響が明らかになる可能性がある。
農業生産、工業活動、物流ネットワークへの被害にもかかわらず、さまざまな経済セクターの全体的な回復力は当初の予想を上回るものであった。
